西岡小十 ‥‥ コレクターのまなざし…

小さな容のなかに語りつくせないほどの大きな魅力をもっている“ぐい呑”は手のうちでやきものを愛でるのに具合が良いからでしょうか、多くのコレクターに愛されています。 西岡小十  絵斑唐津ぐい呑  朝鮮唐津徳利 実業家のN氏もこの酒器の魅力にとりつかれ、その厳しい鑑賞力をもって、近現代陶芸家の優れた作品を愛蔵されてこられました。とくに素朴さのなかに豪放な酒器を制作する西岡小十先生に心酔されています。その秀作を集中的にコレクションされたN氏のご厚意で「コレクターのまなざし 小十の酒器」展を開催させていただく運びとなりました。 西岡小十先生 1987年2月 ☆☆☆唐津の古窯址を知り尽くした西岡小十☆☆☆ 当苑が唐津焼に力を入れるようになったのは、小山冨士夫先生の進言があったからです。永仁の壺事件以後、文化財保護委員会を退職した先生は1963年、出光美術館の顧問となって美術館の唐津古陶片所蔵の充実をはかりました。同時に陶芸家として再出発されて鎌倉二階堂の自宅に永福窯を築かれ、その後よくお邪魔するようになりました。ある日、小山邸の応接間で石黒宗麿先生との思い出を語られ、さらに唐津の話になり、ご愛蔵の草文の描かれた古陶片などを見せくださいました。 小十先生の朝鮮唐津や絵斑唐津の陶板 「素朴で野武士のような唐津は日本の窯跡のなかでも最も心引かれるところ」という小山先生の話を夢中で聞いていましたが、私は「古唐津はやきものとしての面白さや魅力を感じますが、現代作家の唐津焼はつまらないものが…

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