曜変天目‥‥その真に大接近
曜変天目は「ヨウヘン」、「容変」、「耀変」、「影星」などといわれてきた。
『東山御物』にある美の中でも茶碗の王座を占めていた曜変天目は、天空の神秘さを思わせ珍重されている。
現在、その国宝『曜変天目』の三碗が、MIHO MUSEUM、静嘉堂文庫美術館、奈良国立博物館で同時期に公開という千載一遇のとき、第二回「曜変天目 瀬戸毅己展」の開催の運びとなりました。
瀬戸毅己曜変天目茶碗
曜変天目を再現するのは“至難の業”である。
初めての人間国宝となられた石黒宗麿先生は、
「あまりにも豪華な、宝石をちりばめたような曜変天目茶碗。‥‥僕は一生かかって曜変天目の色見をしていたようなものだ」(月刊文化財)といわれ、
窯変米色瓷を完成させた岡部嶺男も、44歳の頃から天目に挑み、
「耀窯天目盌」や「窯変嶺燦盌」を完成させるも道半ばで倒れられてしまった。
また今日の陶芸界においても、数名が挑んでいるが、どれも写しの範疇がぬぐい切れない作品ばかりだが、
瀬戸毅己の曜変天目は真に迫っている。
昨年、ご好評をいただいた「曜変天目 瀬戸毅己展」から丸一年が経過して、
この一年間、曜変天目を狙った窯焚は80回に及んだ。前回より10回増えたことになる。
曜変天目見込
瀬戸毅己先生の曜変天目へ賭ける強みは、徹底した釉薬の研究と不純物の多い黒胎の素地、それに不安定な窯である。
窯は灯油窯。ガス窯や電気窯のようにコントロールしやすい窯ではないから、焼成に…